MENU
ヨーロッパ、カリブ海、アジアで医学を学ぶ EUROSTUDY公式サイト

医学部臨時定員、2027年度「医師確保に影響しない範囲」で削減へ

厚生労働省は1月21日の「第9回医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」(座長:遠藤久夫・学習院大学長)で、2027年度の医学部地域枠等を要件とした「臨時定員」について、「地域における医師確保への大きな影響が生じない範囲で、適正化を図る方向性が妥当ではないか」と提案、了承された。

 2024年末にまとまった「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」の効果もにらみつつ、生産年齢人口の減少や医療需要の変化などを念頭に置き、臨時定員削減に向けて検討する。今後、本検討会で議論を重ね、2026年の年始頃を目途に、2027年度医学部定員の方針を決めるスケジュールが想定されている。「骨太の方針2024」では、▽2026年度は、2024年度の医学部定員を超えない範囲で設定、▽2027 年度以降の医学部定員の適正化の検討を速やかに行う――とされていた(資料は厚労省のホームページ)。

上記内容を受けて、海外医学部留学エージェントとしての見解を以下にまとめると、

日本人学生が海外医学部進学するメリットとデメリット

1. メリット

1.1 国際的な教育環境

海外の医学部では、国際的な環境で学べる機会が多い。多様な文化や価値観に接することで、学生は広い視野を持ち、異なる背景を持つ患者に対する理解が深まる。また、多くの医学部が英語プログラムを実施し、英語で授業や評価を行うため、英語力を高めるチャンスにもなる。

1.2 教育内容の質

海外の医学教育でも、最新の医療技術や研究成果を反映したカリキュラムが組まれていることが多く、日本国内での学びに比べて臨床に関する実践的なスキルを身につけやすい。特にアメリカやヨーロッパの一流大学では、先進的な医療技術や研究に触れることができる。

1.3 多様な症例の経験

海外の医療現場では、地域的な特徴からさまざまな疾病や症例に直面することが多い。特に多民族国家や交通事情の違いからくる交通事故、疾病が多い地域では、多岐にわたる症例を経験できるため、広範な臨床経験を積むことができる。

1.4 資格の取得と就職活動

海外の医学部を卒業すれば、多くの国では医師資格を取得しやすい。さらに、国際的なネットワークや人脈を築くことで、将来的な職業選択肢が広がる。特にハイレベルな医療機関での勤務機会も得やすくなる。

1.5 日本の医療界への新しい視点

海外で学んだ知識や技術を持ち帰ることで、日本の医療界に新しい視点やアプローチをもたらすことができる可能性がある。これにより、医療の質の向上に寄与できる可能性がある。但し、帰国子女並みの相当なレベルの英語力がない限り、日本人であれば日本の医学部に進学した方が知識レベルは高まるのは間違いない。

2. デメリット

2.1 言語の壁

海外での学問や医療実習には、英語やその国の言語が必須となる。言語の理解が不十分な場合、授業についていけなかったり、患者とのコミュニケーションが難しくなることがある。また、仮に単位(Subjects) を難なく取得しても、理解度の観点から日本の医学部生と比較すると、低い状態であることが一般的である。

2.2 コスト

海外の医学部に進学する際の学費は、近年は世界的なインフレの影響や為替の円安による影響を受けて上昇傾向にある。さらに生活費や海外生活に不可欠な保険などの諸費用もかかる。奨学金を利用する手段もあるが、負債を抱えるリスクがある。俗に給付型の奨学金をPRしている国もあるが、実際に給付される割合をしっかりと分析して頂きたい。

2.3 日本の医療システムとの乖離

海外での教育や医療システムは、日本のそれとは異なる部分が多い。そのため、日本に帰国してから学んだことや経験が日本の医療現場で必ずしも役立つとは限らない。また、日本の医師国家試験を受けるために、追加の準備が必要になる。

2.4 社会的な孤立

海外で学ぶことは、家族や友人との距離が生じるため、長期間にわたり孤立感を感じやすい。特に日本の文化や慣習に依存している学生は、適応が難しい場合がある。

3. 海外で活躍する道の可能性

医師としてのスキルを海外で磨くことは、国際的な舞台で活躍するための第一歩になる。海外で学んだ知識や技術を日本に持ち帰り、新たな方法で医療提供を行う医師の役割は非常に重要だ。弊社では、エジプトやウクライナでの医療機関への人的ネットワークがあり、条件次第では現地就職が可能である。

3.1 国際医療の発展

国際的な医療組織やNGOなどでの活動を通じて、発展途上国での医療問題解決に寄与する機会が広がっている。疾病予防や健康教育、災害時の医療支援など、さまざまなフィールドでの活動が期待される。

3.2 研究の推進

海外の研究機関や大学で医療研究に従事することで、医療技術の革新や新しい治療法の開発に貢献できる。また、国際的な学会への参加を通じて、最前線の医療知識を得ることができる。

3.3 国際資格・認証

海外で取得した医師資格や専門医の認証は、他国での医療従事にも役立つ。特にグローバルな医療やワクチン開発などの分野では、国際的な資格を持つ医師が重宝される。

3.4 医療の多文化理解

異なる文化や背景を持つ患者に対する医療提供が求められる現在、国際的な経験を有する医師は、その理解を生かして患者に対するより良い医療を提供することができる。

結論

日本人学生が海外の医学部に進学することは、様々なメリットとデメリットを伴う。しかし、国際的な医療環境で得た経験や知識は、多くの可能性を持っている。国際的な舞台での医療活動や研究への道を切り拓くことで、個人のキャリアだけでなく、地元や日本の医療界にも新たな価値を提供することができるだろう。若い医師たちがその挑戦を受け入れ、多様な道を歩むことが期待される。

レポート: 株式会社EUROSTUDY 代表取締役 宮下隼也

出展: レポート2025年1月21日橋本佳子(m3.com編集長)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次