欧州の医学部入試問題を実際に解く:生物、化学の問題と解説 ⑶

はじめに
欧州の医学部入試では、生命科学の基礎となる生物学と化学の深い理解が不可欠です。特に、分子生物学や生化学の分野では、単なる暗記ではなく、生体内での分子メカニズムの理解と応用力が重視されています。以下では、最近の入試から生物学と化学について、実際に出題された問題を挙げて解説します。

それでは実際の問題をみていきましょう!
実践問題
問1.生物学
Explain the mechanism of DNA replication, including the key enzymes involved and their specific functions. Which of the following statements correctly describes the process:
- A) DNA replication begins with DNA polymerase directly synthesizing new strands in the 5′ to 3′ direction, without the need for primers or other enzymes.
- B) Helicase unwinds the DNA double helix, followed by primase adding RNA primers. DNA polymerase III then synthesizes new strands continuously on both templates.
- C) Helicase separates the strands, primase adds RNA primers, DNA polymerase III synthesizes new DNA (leading strand continuously, lagging strand discontinuously), and DNA polymerase I removes primers and fills gaps.
- D) DNA replication occurs through direct copying by DNA polymerase II, with no need for primer synthesis or fragment joining.
- E) The process involves only DNA ligase joining pre-existing DNA fragments together to form new double strands.
問2.化学
A solution of a monoprotic weak acid (HA) has a pH of 5.00 and a concentration of 0.1 M. Calculate the acid dissociation constant (Ka) of this acid:
Given:
– pH = 5.00
– [HA]initial = 0.1 M
– log(1.1) = 0.041
Answer Options:
- A) 1.1 × 10⁻⁹
- B) 1.1 × 10⁻⁸
- C) 1.1 × 10⁻⁷
- D) 1.1 × 10⁻⁶
- E) 1.1 × 10⁻⁵
問題解説
問1.生物学問題解説
正解: C)
Helicase separates the strands, primase adds RNA primers, DNA polymerase III synthesizes new DNA (leading strand continuously, lagging strand discontinuously), and DNA polymerase I removes primers and fills gaps.
日本語での解説
DNA複製は以下の段階で進行します。
1. 開始段階
- ヘリカーゼがDNA二重らせんを解き、一本鎖にする
- Single-strand binding proteins (SSB)が一本鎖DNAを安定化
2. プライミング
- プライマーゼがRNA primers(約10塩基)を合成
- これが新しいDNA鎖の開始点となる
3. 伸長段階
- DNA ポリメラーゼIIIが5’→3’方向に新しいDNA鎖を合成
- リーディング鎖:連続的に合成
- ラギング鎖:岡崎フラグメントとして不連続に合成
4. 仕上げ段階
- DNA ポリメラーゼIがRNAプライマーを除去し、DNAで置換
- DNAリガーゼが岡崎フラグメントを連結
この過程は高度に正確で、エラー率は約10⁻⁹と極めて低く保たれています。
問2.化学問題解説
正解: B) 1.1 × 10⁻⁸
【解法】
弱酸HAの解離平衡を考えます。
HA ⇌ H⁺ + A⁻
1. 初期条件の整理
– pH = 5.00 より [H⁺] = 1.0 × 10⁻⁵ M
– [HA]initial = 0.1 M
2. 電離度の計算
– [H⁺] = [A⁻] = 1.0 × 10⁻⁵ M
– [HA]equilibrium = 0.1 – 1.0 × 10⁻⁵ ≈ 0.1 M
3. Kaの計算
Ka = [H⁺][A⁻]/[HA]
Ka = (1.0 × 10⁻⁵)(1.0 × 10⁻⁵)/0.1
Ka = 1.1 × 10⁻⁸
海外医進塾からのアドバイス
DNA複製のメカニズムは、分子生物学の根幹をなす重要なプロセスです。この問題は、複雑な生体内反応の論理的理解を評価する典型的な欧州の医学部入試問題です。各酵素の役割とその連携、さらに方向性や時間的順序の理解が問われています。
同様に、化学の問題では酸解離定数の概念理解と計算力が評価されています。特に、平衡状態での物質収支と化学平衡の原理の応用が重視されています。
欧州の医学部入試では、これらの基礎的な生化学・分子生物学の概念が、将来の医学研究や臨床医学の基盤として重要視されています。問題の形式は、単なる知識の確認ではなく、与えられた情報から論理的に考察し、正しい結論を導き出す能力を測るものとなっています。
このような問題を通じて、受験生は以下の能力を示すことが求められます。
- 分子レベルでの生命現象の理解
- 複数の要素が関与する複雑なプロセスの論理的把握
- 定量的な解析能力
- 実験データの解釈能力
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