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【論説】欧州における医師の免許又は資格と登録のシステム、日本の医師免許との違いについて

目次

欧州における医師免許・資格と登録制度について 〜日本の医師免許制度との比較〜

欧州諸国における医師免許や資格、および登録制度は、日本の医師免許制度とは異なる特徴があります。 本稿では、その概要と各国の具体例を挙げながら、日本の医師免許制度との違いについて詳しく解説します。

1. 欧州における医師免許・資格と登録制度の概観

欧州における医師免許(License)や医師資格(Qualification)は、単に医療行為を行うための資格を意味するだけでなく、開業権を含む場合があります。 各国で制度は異なりますが、一般的に以下の流れを経て医師として活動することが可能になります。

  • 医学部卒業
  • 研修(インターンシップ)修了
  • 国家試験または認定試験合格
  • 医師免許・資格取得
  • 医師登録(Medical Registration)

特に医師登録は重要な手続きであり、登録をもって初めて医療行為を行う権利が付与される国も少なくありません。 登録には定期的な更新が求められる場合もあり、医療従事者の質を維持するために不可欠な制度となっています。

2. 各国における医師免許・資格および登録制度の具体例

ルーマニア

ルーマニアでは、医学部卒業後にインターンとして一定期間の研修を行い、その後に試験を受けて合格しなければ医師免許が発行されません。 単純に卒業しただけでは、医師として働くことはできないのです。

ハンガリー・ベルギー

医学部卒業後に追加の資格認証が必要とされる国の例です。 医学部卒業はあくまでスタート地点であり、その後も試験や登録といったステップを踏む必要があります。

イギリス(UK)

英国では、General Medical Council(GMC)が医師登録を管理しています。 医学部卒業後、「Foundation Programme」と呼ばれる2年間の研修を修了し、試験を経たうえで正式に医師登録されます。 その後も定期的な継続教育(Continuing Professional Development, CPD)が義務付けられており、医師としての能力維持が求められます。

3. 日本における医師免許制度

日本では、医師免許は一度取得すれば原則として生涯有効です。 取得には以下のステップを踏みます。

  • 医学部卒業(6年制)
  • 医師国家試験合格
  • 医師免許取得

医師免許取得後は「医師」として医療行為が可能になりますが、欧州諸国のように登録更新や能力維持確認の制度は存在しません。 一部、専門医資格などでは更新制度が設けられていますが、医師免許自体は更新不要です。

4. 欧州と日本における医師免許制度の主な違い

欧州日本
免許取得時期卒業後、研修・試験を経て取得卒業後、国家試験合格で取得
登録制度必要(定期更新・能力確認あり)不要(取得後、生涯有効)
継続教育義務付け(例:イギリスなど)義務なし(専門医資格など一部例外あり)
開業権国によって免許に開業権含む場合あり免許取得で開業可能

5. 医療の質・患者安全に対する影響

欧州では登録制度や継続教育により、医師の知識・技能の維持向上が図られています。 これは患者の安全確保や医療の質向上に大きく寄与しています。

一方、日本では医師免許が生涯有効であるため、知識・技術の陳腐化が懸念される場面もあります。 そのため、日本でも近年、医師の生涯教育や専門医制度の充実が進められています。

6. 国境を越えた医師の移動と免許制度の課題

欧州では、EU域内での医師の移動が活発化しています。 「専門資格指令」により、加盟国間での資格相互認証制度が整備され、医師が他国でも診療しやすくなっています。 一方で、言語や医療制度の違いが障壁となる場合もあり、患者安全確保の観点からも免許制度の透明性向上が求められています。

日本でも外国人医師受け入れ拡大の必要性が指摘される中、免許制度の国際調和や資格認証の在り方が今後の課題となるでしょう。

7. まとめ

欧州における医師免許・資格および登録制度は、医療従事者の質の維持と患者安全確保に向けた仕組みが整備されています。 一方、日本では生涯有効の医師免許制度が基本であり、更新制度はありません。 双方には一長一短があり、医療の質向上や医師の国際的移動を見据えた制度設計が、今後ますます重要になるでしょう。

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